瀧：　あ、ほんと。

卓球：　おまえ見てねえだろ、載ってんの。一回もなくねぇ？

瀧：　いや、自分たちのとこは読んでるよ、全部。

まりん：　僕も…読んではいないけど、見てると思う。

瀧：　読めよおまえ……なぜそう、やったらいつでもやりっ放し、出したら出しっ放し！

まりん：　いや、でも一応見るですよ。立ち読みだけど。

卓球：　俺もさ、買ってもいいんだけど、たまに移動とかでさ、うちのトレフォートっていうレコード会社がさ、横浜にあるわけじゃん。 ちょっと長旅だ、東京からいくとなると。で、読み物のひとつも欲しいじゃん。それで本屋に行く。 でも音楽雑誌ってさ、電車の中で読めねえじゃん。やっぱさすがに、この24の大人が。

瀧：　おまえは……小さいな、器が！

まりん：　だけどさ、学生とか乗ってたらやだもんね、俺なんかやっぱ。なんか恥ずかしいもん。

瀧：　小さい！　みんな。そういう風に人の目を気にしてるようじゃ……。

卓球：　そういうわりにはおまえ、人の目を気にしてパーマをあててみたり（笑）。

瀧：　それを言ったらおまえさんだって、その服！　やたら買い込んじゃってさぁ。 なんか、全然似合わない革靴をはいてみたりしてるじゃないか？（笑）

卓球：　いや、それを言ったらもう、君のなんだかわけのわからない、一撃で熊を蹴り殺しそうな靴とか（笑）。

瀧：　…よし、せっかくこういういい題材を得たから、一応電気グルーヴのおしゃれ船長としての石野卓球について、語ってみようかな、ちょっと。 君はどう思う？

まりん：　うーん…いつも洋服をたくさん買ってるよね。

瀧：　うんうん。でも最近特にすごいね、こいつの洋服の買いっぷりは。

卓球：　なんていうのかな、俺も一応、メジャーデビューしてさ、一流ミュージシャンの仲間入りをしたわけじゃん？（笑）

瀧：　でもさ、昔は君は、まったく服に興味を示さない男だったけどな。

卓球：　金がなかった、まず。あと、他に買いたいものがいっぱいあった。でもバイト時代に、欲しいもん全部買っちゃったんだよ。 だから……金持ちの悩みっていうの？　ブルジョワジーゆえの（笑）。

瀧：　じゃあ、おしゃれ準リーダーとして、まりんは？（笑）。

まりん：　いや、俺は別にそんな……

瀧：　月にいくらぐらい服買うの？

まりん：　二万円…弱ぐらいかなぁ。

卓球：　俺は三、四万ぐらい。でも、服よりCDとか買う金の方が多いからさ。

瀧：　…そりゃおまえ、金ないわ。給料日の三日後に五千円になってたりすんの、わかるな（笑）。

卓球：　いや、俺昔っからそうなんだけどさ、金持ってる時、使わないと心配になることってあんじゃん？　給料日とか。 うわー、なんか買わなきゃって。

瀧：　いや、俺は違うな。

まりん：　なんか今日、きみら二人が割れてるなぁ（笑）。

卓球：　よし、話題を変えよう。二月といえばバレンタインだ。その日、うちらライヴやるんですよ、筋少と…。 まあいいや、バレンタインってどう思う？

瀧：　バレンタインはまだ許せるな。許せないのはホワイトデー。理不尽じゃねえ？

まりん：　俺も俺も。なんかそれはある。

卓球：　まぁ、俺も菓子屋の息子に生まれてだな、お菓子関係は一応……

瀧：　おまえんとこはバレンタインにはほど遠い菓子屋だろう（笑）。おでん売ってるようなとこだぞ。

卓球：　いや、一応キャンペーンやるぜ、うちも。おでんもバレンタイン仕様で（笑）。でもさ、別にチョコレートじゃなくてもいいよな。 俺が勧めたいのはね、バレンタインに金券。新幹線の特急券とかはダメだけど。売れないから（笑）。

瀧：　ちっちっちっ。愛がないもん。チョコレートっていうのはさ、その形、色、そして量。 もしかしたら自分で作ったのかもしんない、一回溶かして……そういうのは絶対食わねえけど（笑）。 そうやって自分なりにアレンジできる。それで自分の存在価値を相手に伝えるんだぜ。それが何にでも変わっちゃう金券じゃ、ダメじゃろう？

卓球：　なるほどね。ま、やっぱり男女の間にはさ、チョコレートという甘酸っぱいほろ苦さがね（笑）……いやー、バレンタインって、いいなぁ！

瀧：　うん、いい。いいわ（笑）。

卓球：　あと、二月といえば豆まき。あれは必要！

まりん：　えー、いらないって言ってたじゃん、前に。

瀧：　あれはいるんだよ。…おまえ、わかってないなぁ。日本の豆を作ってる農家のことを考えろ。 豆を消費する量が一年でどの日が一番多いと思ってるんだ？

卓球：　バレンタインとはちがうぜ。小ーさい、豆業者だぜ。最初は屋台から始めたのが、やっと節分が定着してきて、軌道にのってきた！

瀧：　一流企業にも豆をおろせるようになってきた！

卓球：　その豆業者のことを考えてみろ。

瀧：　そう、豆業者と、あと鬼業者！

一同：　（爆笑）

卓球：　最初は小さい畑しかなかった。だからちょっとの量の鬼しか作れなかった。屋台に鬼をのせて、引っ張ってくわけだ、町まで。 で、帰りは暗い夜道を、あまった鬼をのせて、とぼとぼと帰るわけだ。その鬼業者の気持ちを、考えたことがあるのか、おまえ？（笑）

瀧：　昔は冷蔵庫もないから、鬼もすぐ腐っちゃって。

卓球：　最近はやっとな、ビニールハウスとかもできて、品種改良もすすんで。変わり種の鬼もでてきてな。 黄色い鬼とか、四角い鬼とか、種のない鬼とか。

瀧：　根はひとつでもたくさんの鬼がなったり。

卓球：　だからそういう、豆業者と鬼業者？（笑）その人たちのために、俺らは節分を奨励してるわけだ。

瀧：　結論。節分はいる。バレンタインは許してやろう。ホワイトデーはいらない！

卓球：　そういうことだな。