瀧：　いや、あんなもんっスよ。

卓球：　やっぱりね、デカいから伝わんないですよ。わざわざオーバーアクションでやんなきゃいけなしさ。

瀧：　自分らが何かやっても、肝心の反応が見えなくて。……演りづらいですよね。

── そういえば、石野さんのお母さんと妹さんみえてましたよね。

卓球：　あ、見ました？

── ええ。あんまり似てませんよね。

卓球：　そうかなあ。……そうだ！　武道館といえば、ビデオが出るんですよ、5月に。仮タイトルも決まって……。

瀧：　『スリラー』な（笑）。

── マイケル・ジャクソンと同じの？

卓球：　そうそう。で、同じタイトルはマズいから最初に“ザ”を付けてね。

瀧：　笑うよな、そのタイトル。

卓球：　今まで一番笑えたタイトルは何かって考えたとき、これしかないって出てきたのが『スリラー』だったんですよ。

まりん：　笑える上に、世界で一番売れてるっていう。……オレの友達なんて、お婆ちゃんに買ってもらったんだぜ、『スリラー』を。 ……“今、若い子にはコレが流行ってるからアンタも聴きなさい”だって（笑）。

── なるほど。それは、お父さんが、今流行ってるからって子供にファミコン買ってやった、ってのと同じノリですねえ。

卓球：　そうそう。……でも、きっといるんだろうな。 例えばさ“そういやウチのタカシが『ドラゴンクエストV』ってのを欲しがってたなあ”ってな具合で酔った勢いで買っちゃうお父さん。 あげく“そういえば、ファミコン本体もないから”ってハードも買うんだけど、スーパー・ファミコンじゃなくてファミコンの方を買っちゃって（笑）。 ……で、家に帰って“お〜い、タカシ。『ドラゴンクエストV』買ってきたぞ”って言ってみたはいいんだけど……。

まりん：　包みをバサッと取ったら……。

卓球：　見たとたん“ウエ〜ン！　違〜う”だって（笑）。

── （笑）でもそういうことって、子供の頃ありましたよね。

卓球：　あったあった。オレも5才のクリスマス・イヴのときに、枕元に“グレート・マジンガーのジャンボ・マシンダーがほしいです”とか書いて寝たんだよ。 ……で、次の日の朝、枕元を見たらプレゼントがあって、“やったあ、サンタさんやっぱり来てくれたんだ。 でも、ジャンボ・マシンダーにしては箱が小さいなあ。……そうか超合金か！”ってな感じで包みを開けてみたんだな。 そしたら何だったと思う？　地球儀だぜ、地球儀！　“文くんへ。 君も来年から小学校に行くんだから、おもちゃばかりで遊んでないで、地球儀で勉強しなさい”っていう気のきいた手紙付きで。 ……あとさ、小学校のときにボードゲームが流行ったじゃん。“人生ゲーム”とか“億万長者ゲーム”とかさ。 ……で、“ボードゲームが欲しい欲しい”って騒いだら、親父がパチンコの景品で取ってきてくれたんだよ、“ルーレット”を。

まりん：　アダルト感覚の（笑）。

卓球：　（笑）箱の絵がカジノの夜景でな。……でも、オレが求めてんのは、いわゆる『エポック社』のヤツじゃん？　“うわあ、お父さん違うのに”ってさ。 ……あと“野球盤”ってあったじゃん？　あれにもいろいろドラマがあったよな。ほら、ちょっと貧乏の家は、守備の人形が薄っぺらかったじゃん？　 金持ちの家は豪華なヤツで、人形も太ってただろ。オマエんちはどうだった？

まりん：　僕んちはねえ、2台あったよ。

卓球：　そうだ！　コイツな。オレ、この前初めて知ったんだけど、まりんの北海道の実家が300坪くらいあんだよ。 実は金持ちのボンボンだったっていう……。

まりん：　でも北海道にはもっとデカい家いっぱいあるよ。

瀧：　そうかあ？　だってオマエのお父さん、部長じゃんかよ。

── へえ、そうなんですか。

卓球：　チェーン店があるウナギ屋の、ウナギ部の部長なんですよ（笑）。

まりん：　そうそう、略して“ウナリーダー”って言うんですけど（笑）。

卓球：　（笑）……でも親といえばさ、初めて自分の家に彼女を連れてきたときって、どういう反応した？

まりん：　オレんちはさ、お母さんが美容師で、お父さんがウナリーダーじゃん？　だから日中に家にいるのは、一緒に住んでいた爺ちゃん婆ちゃんだけでさ。 で、彼女を連れてったら、婆ちゃんビックリしちゃってお母さんの店に電話してんだよ。後から聞いた話なんだけど、“良徳が女の子連れてきてるよ。 子供ができたら大変だから”だって（笑）。

卓球：　（笑）でも、親がもてなしちゃうときあんじゃん？　あれが結構つらかったわ。 ……ほら、オレんちって店やってるから、あられとかおでんとかその類の古風なヤツを出すんだよ。でも、若人が求めているのは『カルビー』じゃん？

瀧：　店にいて、今、若い子に何がウケてるかっていう、いわゆる売れ筋商品ってのをわかってんのにな。 実際になってみると、自分の物差しではかっちゃうんだよな、やっぱり。

卓球：　そうなんだよ。

瀧：　でも、オレんちなんか父さんがメシ作っちゃうんだぜ？　遊びに来た彼女に。

まりん：　それは結構ツラいもんがあるね。

瀧：　だろ？　なのにはりきるんだよ。帰り際にソーメン持たしてみたりさ。

卓球：　うわあ、でもオレもそういうことあったわ。友達んち行った帰りに、おばさんが“石野くん、これ持って帰んなさい”とかいって山芋渡されたもん。 一人寂しく夜道を自転車で走り、片手には山芋だぜ？（笑）

瀧：　でも結構、お土産を渡す側の子供も嫌なもんなんだよな。

卓球：　……でもさ。武道館でライヴを演れたのも、親があってのことだから。嬉しいことっスよね。

── おっ？　上手くまとめましたね。

まりん：　そんじゃあ、また来月。