まりん：　何だよ、いきなり（笑）。

卓球：　まりんを描く子達にしてみれば、コイツはえらいハンサム君に見えるんだろうけど、 オレと瀧にしてみると同性だし恋愛の対象じゃないワケじゃん？　 だとすると、ウチらはオマエのツラのことをどう思ってるかっていうと、まりんという24歳の男なりの育ち方、生活を経て、このツラに落ち着いたと思うわけだ。

瀧：　いろいろ紆余曲折して、年輪を刻み込まれて、この素敵な顔になったと。

卓球：　うむ。……だけど、オレと瀧は初めてオマエと会った時から“コツン”としちゃうようなナメた態度をとって。

瀧：　ウチらって第一印象っていうか、ツラ構えで人をまず判断するからな（笑）。 だから最初の印象で「コイツ、薄いヤツだな」と感じたんだろ、きっと。

卓球：　「あ、コイツはナメていいヤツだ」ってな（笑）。

瀧：　そのわりに最近では表情にもだいぶ深みがでてきて。

卓球：　なあ。……でも第一印象といえば瀧っ、オマエだ。

瀧：　ああん？

卓球：　「ああん？」じゃねえ！　オマエと最初出会った時の態度ったら……冷たかったろ、まりんの時も。

まりん：　冷たいなんつーもんじゃないよ。オレのことなんかまるっきり無視で。

卓球：　まりんが電気に入るの決まるか決まらないかって時期に、オレんちで瀧とまりんを会わせることになったんだよな。 で、瀧に「砂原ってヤツがいるから会ってくれよ」って声かけて。

まりん：　キミ（卓球）は親切だったよ。

卓球：　まずまりんの人となりを瀧に説明しなきゃなんなかったからな。 ……ほら、よくあんだろ。「砂原君はこういうのが好きなんだね」って言いながら人に聞かせるっていうの。 この語尾の「ね」っていうのは瀧に聞かせてたわけであってさ。

まりん：　そうそう。

卓球：　なのにもかかわらず、瀧は何してたと思う？　マンガ読んでたんだぞ、マンガを（笑）。

まりん：　「けっ、何だコイツは」って感じでね。あとマンガの他に、当時“瀧勝”のデビュー前だったから、その曲の詞を書いてたんだよ。 何やってんのかなあ、とか思って覗いたら、ノートに“犬よ犬よ……”とか書いてたもん（笑）。

卓球：　最初オレとまりんが部屋で待ってて、まりんがタバコ買いに出ようとした瞬間、瀧が来たんだよな。 実際、初めての顔合わせはその瞬間だったんだけど。

まりん：　オレも会った瞬間、この人が瀧だってわかったから「あ、どうも」って挨拶したら……無視したんだよ？（笑）

卓球：　東京人だと思った？

まりん：　なんていうかさ、う〜ん……瀧……いや違うな……ピー……。

卓球：　瀧ピー？（爆笑）

まりん：　口がまわんなかっただけだよ！

瀧：　いや〜、ビックリした。いきなり瀧ピーなんて言うもんだから（笑）。

卓球：　瀧ピーはマンモス冷たいピーって感じで？（笑）

まりん：　……もう気が済んだかよ。

卓球：　いやー、笑った。うん、もう大丈夫。……で、訊くけどさ、瀧は何であんな態度をとったわけ？

瀧：　ああん？　だってさ、コイツ凄くビクビクしてたじゃん。

卓球：　確かにな。

瀧：　これから電気グルーヴに入ろうとする男が、清水の舞台から飛び下りる気持ちで顔見せに来るわけじゃないですか。 なのに何をオドオドしてるんだっつーの。

卓球：　おうおう、そのとおりだ。でも前にいたCMJKは最初からふてぶてしかったからな。

瀧：　オドオドしてるってことは、もう心のドアをパタン、って感じなわけじゃん。

卓球：　パタンっていうより、まりんの場合、ブラインドの隙間からソーッと見るような感じだよ。裕次郎扮するボスよろしく（笑）。

まりん：　かもしんないなあ。

卓球：　でも今考えるとコイツもかなりズーズーしいヤツでさ、電気に入ることが決定して少ししてから 「実はオレ、平沢さんからもP-MODELに入らないかって誘われてるんだよねえー」なんてぬかしやがって。

瀧：　作戦だな。

卓球：　作戦だよ。自分の値段を吊り上げようっていう。

まりん：　言ったなあ、そんなこと。

卓球：　だったらP-MODELに入れてもらえっつーの。……いいぞ電気抜けてP-MODELに入っても。

まりん：　そ、そんなこと言ってももうないもん。P-MODEL。

卓球：　それも三年前の話だな。……しかし、意外なのはオレと瀧の他の電気のメンバーとしては一番長くいることになるだろ、まりんは。

瀧：　ああ、そうか。

卓球：　で、不思議なのはさ、一番長くいたのはまだCMJKだっつー感じがして。

瀧：　だよなあ、オレもそう思うわ。

まりん：　おいおいおい、ひどいなあー！

瀧・卓球：　ギャハハハハ！（爆笑）

まりん：　だってオレ『UFO』『KARATEKA』『メンソール』。それにこの前の『VITAMIN』だよ？　四枚だよ四枚！

瀧：　だからアレだよ「オレもう辞めるわ」つって電気を去ったCMJK、脱サラした北川君の後に入ったまりんは新入社員で、 その後には誰も入社してこなかった。つまり、後釜のいないオマエはいつまで経っても新入社員だっつーこと。

卓球：　なるほどな（笑）。しかし今までの中で一番長くてアルバムもたくさん作って、あげくのはてに「オマエ、影薄いよ」だろ？　 たまんねえよなあ（笑）。

瀧：　でもオレはいまだにまりんのことを「おい、JK」って間違えちゃうよ。

卓球：　うそっ？　オレなんて「おーい、耳夫」って呼んじゃうよ。

まりん：　ひっでーなーもう！

瀧：　……しかしオマエはモテるな。

まりん：　はあ？　なんだそりゃ。

卓球：　（爆笑）ギャハハハハ！　急に話題を変えるな、オマエも。

瀧：　いや、ちょっと流れを変えてまりん側についてみようと思って。

卓球：　電車を乗り換えるって感じだな。行き先不明の。

瀧：　ぶらり一人旅って感じでな（笑）。

卓球：　まりんは最近どうなの？　モテてんのか。

まりん：　もういいだろ、その話は（ガックリ）。