全国15万人の『濡れてシビれて』ファンの皆様、お待たせしました。あなた方の 支援のおかげでいよいよ大ヴォリュームでの登場ですよ。……いやー、しかしあれ ですな。思い起こせば3年前。昔のせまーい編集部にわざわざメンバーに来ても らってテレコで収録し、それから次はフラミンゴ・スタジオ（赤坂）に場所を移 し豪華にスタジオで収録。で、現在は毎回いろんな場所でつかまえてまたテレコ で収録と。「セコイな、おい！」とおっしゃいますが瀧さん、これもあなたが忙し いからいけないのですよ（と、人のせいにする）。ま、いろんなことがありました が、これからもまだまだこのコーナーは続きますんで、どうぞごひいきに。ただ、 このヴォリュームとカラーってのは今月だけです。やっぱ『濡れてシビれて』は 地味なモノクロじゃなくっちゃね。あ、それからお知らせ。7月号が発売になってから というもの、たくさんの読者の方と、ライターの吉村栄一さんから「先月 号の写真中央の（メガネをかけた）人をはっきりさせてくれ！」との問い合わ せ＆苦情が来たのでここでハッキリしておきましょう。あそこに写っていたのは、 キューン・ソニーの石井さんという（とっても偉い）方です。瀧さんのTシャツ をわざわざ着用して頂きまして、特別に参加してもらいました。したがってあれ は吉村さんではありません。「吉村さんって結構、歳なんですね」とか「想像して た人と違う」なんていう声などいろいろありましたが、本当の吉村さんは前回も 記したように福山雅冶似のヤングメンなのでご安心を（笑）。

担当：　だから、36回だって（笑）。何の為のカラーページですか。

まりん：　あ、そっか。3周年だもんね。

瀧：　3周年といって何か特別なことは？

担当：　いや、カラーページという他には別にないけど……何かないっスかね。

卓球：　だいたいよお、歴史を振り返るんなら振り返るで今までのページのコピー とか持ってくるとかさ。持ってきてねえだろ。なのに「何かない？」だって。

瀧：　なあ。普通、記念品とかも持ってくんだろ？　あげくギャラも出ねえし。お い、どうなってんだ、道下百……あれ、いま何万円だ？

卓球：　百八万だよ百八万。コイツの名前は道下百八万円なんだから。搾取されま くってんな、オレたち。

瀧：　なのに“3周年記念”だって。

卓球：　ふざけんなっつーの。だいたい昔はスタジオで録音してたのが、今じゃ撮 影の合間の化粧室で。連載のコピーは忘れるは、お色気もナシ。あげく「時間が ないんで急いで下さい」だって。

担当：　へいへい。

瀧：　反省の色はねえし……。ねえねえ、編集部からの菓子折りは？　菓子折り。 ……ああそう、なぁいんだ。

卓球：　ギャハハハハ！　いいなあ、それ。もう一度言ってみ？

瀧：　なぁいんだ。

卓球：　ギャハハハハ！　瀧、瀧、じゃあこの人（担当・金子氏を指差し）はキュ ーンソニーの……。

瀧：　しゃいんだ。

卓球：　おもしれー（笑）。……じゃあこんどコレ。コレは何？（と、すいこみ隊の 金やんが持ってたグラスを指差し）

瀧：　わいんだ。

卓球：　くぅーっ（笑）。もどかしい、じつにもどかしいね。この可笑しさが誌面で 伝わんないのがさあ。

まりん：　でもこういうの今までもいっぱいあったよね。……ああ、でも3年かあ。 道下さん、アタマ薄くなったね。

卓球：　ギャハハハハ！　そういえばそうだな。ハゲたハゲた（笑）。

瀧：　これぞ3年間の歴史って感じだな。

担当：　そんなでもないよ！（笑）

卓球：　いやー、でも3年前はまだ初々しくて。20歳だったんだっけ？　若いよな。 ……ところで、この連載ってニューズメーカー編集部内での評価はどうなのよ？

担当：　んん？　いや、特に。引き続き頑張れよ、って感じですかねえ。

瀧：　テンション低いな。終わらした方がいいんじゃねえかと思ってんじゃない？

担当：　そりゃないっしょ。じゃ、皆さんはどうなんですか？　逆に訊きますが。

瀧：　う〜ん……………………バカみたい。

卓球・まりん・担当：　ギャハハハハ！

まりん：　特に誰が？

瀧：　いや、みんなだけど。

担当：　そんな自己嫌悪に陥ってる場合じゃないって（笑）。……じゃあ話題を変え て……そうだ！　近況ネタってのは？

卓球：　近況？……ああ、そうそう。ウチらまた海外旅行に行ったっスよ。

担当：　あれ、また行ったの？　そういえば焼けてますよねえ。

卓球：　でしょ？　今回はまりんも行って。

担当：　まりんさんはどちらへ？

卓球：　九州は火の国ロンドン。だよな？

まりん：　そうそう神輿をかつぎに（笑）。

担当：　石野さんは？

卓球：　ぼくバリ島。

担当：　瀧さんは？

瀧：　ぼく日光。

担当：　ハハハハハ、またウソばっかり。

卓球：　いやマジマジ（笑）。コイツはホントに日光だったの。

瀧：　鬼怒川温泉。

卓球：　何でかっていうと、もともとこの休みはなかった休みで。……で、オレがど うしてもイギリスであるでかいレイヴに行ってみたくて、会社に頼んでもらった ものなの。

担当：　へーっ。

卓球：　まあ、瀧は『ポンキッキーズ』があるからもともと休みじゃなかったんだ けど。……でさ、オレは行く直前でそのレイヴが中止になっちゃって、そんで結局 バリにしたってわけ。

瀧：　でもオレも結局なかったぞ。ポンキッキーズ。

卓球：　なあ（笑）。で、もう今からじゃ遅いからってんで日光にしたと。

担当：　ふんふん。……で、瀧さん川下りしました？　船で。

瀧：　ううん。ダメダメ。大雨だったもん。

卓球：　男同士、2人で行って雨（笑）。いったい何してたんだ？

瀧：　いやあ、泊まったとこがでっかいホテルでさ。ハトヤって感じの。で、その 中でショーパブがあって、夜の10時頃からショーをやるってんだよ。イギリス人 ダンサーよるショーと、ブラジル人ダンサーによるショーを。そこに行ったとき まだ時間があと30分くらいあったからカラオケをね、うたえっていうんだ。

卓球：　誰が？

瀧：　ん？　オレたちがお願いしたコンパニオンのネエちゃんが。……そいつがさ、 「ねえねえ、名前何ていうの？」っていうから、オレが「んん、瀧。瀧正則」って こたえたら「わあ、正則？　じゃあ、まーちゃんね」っていうわけ。

卓球：　何、ソイツは瀧のことピエールだってしらないわけだ。

瀧：　そうそう。……でな、「じゃあ、サザンの『ミス・ブランニューデイ』うたっ て」ってオレにリクエストするもんだから調子にのって「うん、オーケー！」っ て返事しちゃったわけだ。

まりん：　結局うたったの？

瀧：　うたったうたった。しかもジュリーの『勝手にしやがれ』も。

卓球：　いいなあ、瀧らしいわ（笑）。

瀧：　いや、それだけならまだいいんだけど、今度はホントのショーが始まってさ。 そのショーの中で、お客さんを一人ステージに乗せて踊らせるってのがあって、 見事オレが指名されて。……ほら、オレはショーの前に派手に騒いでたから目をつ けられちゃったんだな。

まりん：　で、どうしたの？　ステージで。

瀧：　踊った踊った、ランバダを（笑）。慰安旅行って感じのおじいちゃんおばあち ゃんの前で。あげく服を脱がされるってストーリーになっててさ。オレ浴衣だか ら、もう「あ〜れ〜」って感じでクルクルまわって脱がされ、おどけちゃって。 ……もうパンツ一枚になっちゃった。女もんのパンティー履いてたのに（笑）。

卓球：　サオ折り曲げて？

瀧：　そうそう、ばれないように（笑）。

担当：　なるほど（笑）。……石野さんはどうだったんですか？

卓球：　いや、もう優雅でしたよー。気が向いたらプールに入り、甲羅干しをして。 で、ある一日は現地人について観光したりしましたから。

まりん：　何か変わったことあった？

卓球：　う〜ん……とりあえず物売りがすごいよ。面白いのがさ、その物売りの理 論がメチャメチャで。で、ソイツがね、オレにブレスレット買わねえかっていう わけ。だから「ふ〜ん、じゃ一個いくらだ」って訊いたら「二千円だ」っていう の。で、「買ってもいいよ」ってこたえたら「もっといっぱい買ってくれたらまけ るよ」っていうんだ。で「どれくらいまける？」ってこたえたら何て言ったと思 う？　「う〜んそうだね、一個二千円だから、二つ買ってくれたらもう五千円に しちゃうよ！」だって。

瀧・まりん・担当：　ギャハハハハ！

卓球：　デタラメだろ？　もう、全然いい加減なのよ（笑）。……でな、また面白か ったのがさ、街あんじゃん？　で、その街の通りとか角で立ってるヤツがいっぱ いいんだよ。何するでもなく。

まりん：　ボーっと？

卓球：　ボーっと。……で、タクシー乗って街グルグルまわったら立ってる立ってる。 街のいたるところに（笑）。……あれは何やってんだろうな。土地柄かな？

担当：　ああ、ノンビリしてるっていうか。

卓球：　そう。……でもそのタクシーの運転手もさ、ヘンなオヤジで。明らかに向 かってる方向が指示したホテルじゃないから、「そっちでいいんですか？」って訊 いたんだ。したら「いいんだ」って言うわけ。……どういうことかっていうと、夕 日がキレイに見えるところを選んで走ってくれてんだよね。「料金は最初の値段で いいから」って。なんか嬉しいじゃない？　……でも実際、いい場所に来たらその オヤジも一緒に夕日を見んだよ。「サンセッ、サンセッ」ってニコニコ指差しなが ら（笑）。ノロノロ走っててさ、悪いからオレもちゃんと見てんだけど心配で心配 で。……そしたら突然“ドンッ”って音がするから車降りてみたら運転手さん犬ひ いちゃって（笑）。

瀧・まりん・担当：　ギャハハハハ！

担当：　（笑）で、まりんさんのロンドンはどうだったんですか？

まりん：　僕はもう、そんな面白いエピソードなんて全くなし。それこそ何するで もなく街ブラブラしたり地下鉄のホームにベタッと座ってみたり。……あのー、き っと僕みたいなヤツが南国行っちゃダメなんだと思いますよ。のどかなだけに、 帰国したとき仕事に復帰できなくなっちゃうもん。だらけちゃって。

卓球：　確かにな。オレも時間経つ感覚が遅くってビックリしたもん。……もう全 然違うよ、時間の流れが。カッコつけるワケじゃないけど、空だって東京の空と は全然違う。広さが違うよ。

まりん：　なるほどね。オレも北海道から東京に出てきたときそう思った。東京は なんか閉鎖的というかなんというか……。

卓球：　なあ。……でも海外、南国でもどこでもいいけど、住みたいと思う？

まりん：　場所によりけりだけど……。

瀧：　何が場所によりけりだ！　カッコいいから永住したいと思ってるくせに。

まりん：　そんなことないよ。……瀧は？

瀧：　ふんっ、どうせオレは海外なんて行ってませんよ。鬼怒川だもん鬼怒川。

卓球：　でもオレは鬼怒川って瀧にピッタリの場所だと思うな。なんたって鬼が怒 る川って書くとこだぜ。瀧っぽくねえ？

まりん：　ハハハハ！　瀧っぽい瀧っぽい。

瀧：　鬼怒川をバカにするなよ。だいたい国内でブラジル人とランバダを踊ったこ とがありますか？　僕はあります。

卓球：　（笑）でもな、海外はいいぞ、瀧。君もまた行ってみれば？

瀧：　いいのボキは。国内で。……だいたい海外のどこがいいんだ？

卓球：　まず時差。あれがいい。なんか感動するじゃん。

瀧：　ああ、あの体内時計が狂ってる感じがな。

卓球：　そうそう。うわあ、外国ーって感じがするじゃん……ところで鬼怒川は？ サマータイムとかあんの？（笑）

瀧：　んん、時差？　同じ。ジャパンはどこ行ってもじぇーんぶ同じ。

卓球：　オレと瀧が最初に海外行ったのってファーストのレコーディングじゃん？ マンチェスターに。

瀧：　だな。CMJKと一緒に。

卓球：　あん時は不安だったなー。初めての海外旅行……あ、旅行じゃねえか、仕事 だ。にもかかわらず、現地集合（笑）。

瀧：　おうおう、そうだったそうだった。

卓球：　オレなんか飛行機も初めてで。真剣に飲み物タダかなあ、って思ったもん。 しかしさ、今となっちゃ何回も海外行ってっから言えんだけど、マンチェスター ごときでビクビクするんじゃなかったな。

まりん：　……あのさあ、オレ前から言いたかったんだけど、旅行いったら必ずお みやげ買ってくる、ってのやめない？

担当：　うわっ、そんなことやってたの？

卓球：　面白いでしょ（笑）。でもホントやってんだよな。あと、誕生日プレゼント も。……ほら、ウチらってバンド仲間同士でそういうこと一番やってなさそうじゃ ないですか？　……だからこそやる（笑）。辞めないぞ、絶対。

まりん：　ええっ、オレさあ、そういうの苦手なんだよね。物選ぶのとか。

卓球：　だからしっかり選べってんだよ。だいたいオマエの土産は何だ！　瀧には スーパーラバーズでも売ってる腕時計。オレには国内盤も出ているCDだぞ？

まりん：　だってわかんないんだもん。

卓球：　いいんだよ、だってオレが今使ってるサイフって瀧からのプレゼントなん だぞ。そういうのでいいんだよ。

瀧：　そうそう。

卓球：　しかしこのギャルズバンドのような行動（笑）。これって何よりものメンバ ーに対する嫌がらせだよな。

瀧：　明らかに狙ってるって感じのがないじゃん？　結構、欲しいものとか便利な ものとかあってさ、真剣に選んじゃって。それが嫌だよな……って自分もやってん だけど（笑）。

まりん：　プレゼントといえば野村さんにザルあげたこともあったねえ。

瀧：　おうおう、あったあった。……あのー、ほら『野村ツアー』のタイトルにも なったコンサート製作会社の野村さんって人がいて、一昨年くらいに入院したん だよな、病気かなんかで。……で、オレたちと当時のマネージャーだった後藤さん の4人で病院に様子を見に行こうってことになって、お見舞いを買いに行ったの。 ……したらなんか市場みたいなとこ通ってさ、そこでちょうどいいって感じでザ ルと竹刀とサッカーボールを買って、病院で野村さんにドサッと渡して。「うわあ コリャ凄いねえ」って喜んでくれたんだけど、野村さんがいうわけ。

担当：　え、何て？

卓球：　オマエらよりもっと凄い物持って来たヤツがいるって。

担当：　誰誰誰？

卓球：　ピコリン（笑）。……で、何だったと思う。馬の置物だぜ？　しかも真剣に 選んできてそれだ。凄いと思わねえ？　負けたよな。

瀧：　ああ負けた。

卓球：　そのセンス（笑）。しかも「入院してると心がすさんじゃうからこれを眺め て元気を出して」ってメッセージを残したらしいぞ。

瀧：　完敗だな（笑）。

卓球：　なあ。……ま、そんなことでさ、まりんも外見の良さじゃなくて、中身で勝 負だから、これからピコリンを見習ってちゃんと続けるように！　だから何があ っても旅行に行ったら必ずお土産、誕生日が来たら必ずプレゼントだ！　いいな。 ……ところでさあ、道下さん、4周年記念は何やってくれんの？

瀧：　海外レコーディングしかないだろ？

卓球：　何、『濡れシビ』初の海外録音？　で、海外なのにいつもどうり道下さんが 一人で来て、テレコで録ってポラを撮ると……いいね、それ（笑）。

瀧：　おおお、面白そうじゃん。オレたちも一切仕事入れず、その為だけに行くか らやろうやろう。韓国でもどこでも近場でいいから。

卓球：　……ところで道下さん、いつも一人で来るけどオレたちって編集長の人と あったことねえなあ。

瀧：　こんだけやってんのになんで来てくんねえんだ？

卓球：　編集長の人は……えーっと、あのパンスト教の人？

担当：　あれは竹内。編集長は清水です。

卓球：　清水さんか。読んでんのかな？

瀧：　読んでねえだろ、こんなくだらん会話は（笑）。

卓球：　どうだろうな。じゃあ、誌面を通じてメッセージだ。瀧っ、行けっ！

瀧：　清水……さん？　なんで表紙やってくれたのに来てくんないの。3年間もノ ーギャラで。道下百八万円までイッてんのに。……ゆるさないよオレは。

卓球：　いいねいいね。……じゃあ、瀧。こうしねえ？　来月号の清水さんの編集後 記に、オレたちに対する熱い気持ちの入ったメッセージが載ってなかったら連載 を辞めるってのは。

瀧：　おうおう、そうしよう。…道下さん、絶対言っちゃ駄目だよ？

担当：　OK。……でも辞めるってのはちょっとヤだなあ。

卓球：　また“ヤだなあ”なんてズーズーしい。だったら清水さんに会わせてよ。 ……じゃあ、こうしねえ？　もし、編集後記にホントに書かれていなかったら、不 評でやめたエロ・イラスト復活。しかも描くのは清水さんってのは。

担当：　ギャハハハハ！　そりゃいいわ。

卓球：　でしょでしょ？　よーし、これで来月号が楽しみだ。……これで道下さん が単行本作ってくれたら文句ナシだな。『お達者くらぶ』に先に出されたら立場ね えもんな（笑）。

そうですか、もう3年になりますか。 印象的だった出来事は……う〜ん、そうですね、 このコーナーから出た“パッチン止め”という言葉が渋谷系の若者の 間で流行ったってことかな。（石野文敏・談）

僕は『濡れてシビれて』の数だけ成長してきたような気がします。 なんたって僕の初ライヴは武道館、初取材はこのコーナー なんですから。（砂原良徳・談）

『濡れてシビれて』は、オレにとってかかすことのできない心のオアシスに なんだ。ツラい時、悲しい時、いつもコイツにオレは励まされた。 これからどうするかって？　もちろん続けるさ。 辞めるとき……それはオレが死ぬときだろうね。（瀧正則・談）