吉村：　あ、ども。……ところでコレ、今何回くらいやってんの？

まりん：　49回。もう4年もやってんスよ、こんなこと。

吉村：　じゃあ、結構ギャラも溜まったでしょ。いくらくらいになった？

瀧：　えー、1回1人1万円として、3人分だから……来月で150万円？

まりん：　道下150万円だ。

担当：　うわ、もう払えない。

瀧：　ははははは。そりゃ払えんだろうに。

卓球：　テープの反応とか来てる？　まだプレゼントしてんでしょ？

担当：　してますよ。毎月、結構な数で応募のハガキ来てるし。あとね、ハズレても「ダビングして下さい」って電話が来たりしますからね、たまに。

卓球：　ズーズーしいな、それ。

吉村：　あ、ダビングといえばさ、オレんちにもよく電話があって。「パチパチでインタビューした電気のテープ、ダビングして下さい」って。ファンの子が。

卓球：　うわ、そっちの方がズーズーしい。信じらんねえな。 ……あ、信じらんねえといえば、もうひとつ。この前さあ、土井くんとこにまりんのファンから電話あった話って知ってる？

瀧：　なになに？　知らない。

卓球：　じゃあ、これは土井くんから説明してもらおう。

土井：　まりんさんのレコーディングが終わりかけの頃、僕の家に電話がかかってきて、突然、その子が「まりんさんのソロ・アルバムに参加させて下さい」って言うんですよ。

瀧：　へー。そいつ、男なの女なの？

土井：　いや、女の人なんですけど、「まりんさんって今、ソロ・アルバム作ってますよね？」って言うから「はい」って答えたら、参加させてくれって。

まりん：　土井くん、面白そうだから「はい」って答えたんでしょ？（笑）

土井：　ええ。……で、「ヴォーカルをやりたいんですけど」って言うから、じゃあ本人に訊いてみるから電話番号を教えて下さいって言って。

まりん：　面白いから、土井くんそこで断らないで泳がしたわけだな（笑）。

土井：　ええ。……で、一応しばらくして電話はかけたんですけどね。もうレコーディングはほぼ終了してて無理だって。 そしたら今度は携帯の方にかかってきて「やっぱりどうにかなりませんかね？」って。断ったけど、しばらくそれから何回かかかってきましたね、朝とか。

卓球：　朝？　ああ、それは絶対、学校に行く前とかにかけてんな。

土井：　そうでしょうね。で、それからその子から電話がなくなったと思ったら2週間くらい経って、「今度はソロ・アルバムじゃなくて、別のお願いをしたいんですけど」って電話があって。

瀧：　今度はなんのお願いだって？

土井：　いや、もう勘弁して下さいって聞かないで断りました。

全員：　えーっ！　聞かないとー。

まりん：　そっからまた面白くなったかもしれないのにー。

土井：　そうですかね。すいません。

吉村：　でもその子なかなか考えたよね。だって今まで散々「彼女になりたい」とか「電話番号教えて」って手紙とか問い合わせとかあったわけじゃん。 でも参加させて下さいってのはさ、ちょっと思い浮かばないじゃない。普通は。

卓球：　んー、でもオレだったらとりあえずスタジオに呼ぶな。で、歌わせちゃう。もちろん使わないけど（笑）。だって面白いじゃん。ツラ見たいし。

吉村：　でもさ、篠原にしても『虹』のバック・コーラスにしても、そういうふうにして参加したんじゃないかって思ってる人、多いと思うよ。

卓球：　いるだろうなー。だいたい瀧がそうなんだから。

瀧：　オレ、もともとファンあがりでメンバーになったクチだからな。

卓球：　そうそう。とにかくひつこかったんだから、瀧は。

瀧：　そうだよー、大変だった。いろいろあったもん。何時間もメンバー待ってたり、いろんなとこに通ったり。つらいこともたくさんあったけどね。

吉村：　ドラえもんの格好させられたり？

瀧：　そうそう（笑）。あと、信ソの前で雨の中、3時間も待ったり。

まりん：　なにそれ？　知んねえぞ。

卓球：　あれは確か『KARATEKA』の頃だったよね。

瀧：　そう。オレ3時間待ってやっと手紙受け取ってもらったんだから。

卓球：　で、オレがそんとき「君、瀧くんっていったっけ。1曲歌ってみる？」って声かけて、実際歌ってもらったんだよな。“♪夢か幻か〜”って（笑）。

まりん：　それが『ドカベン』になったと。

卓球：　そうそう（笑）。懐かしいなあ。……あ、ところで、今日せっかく吉村さんが来てくれてるからいろいろ訊きたいんだけど。 インタビューしてて嫌なミュージシャンってどんな人がいる？

吉村：　んー。オレとしてはね、よく喋ってくれる人がいいミュージシャンだと思ってるから（笑）。

瀧：　やっぱり全然喋らない人っている？

吉村：　いるよー。困っちゃう（笑）。 あと、こっちが質問したこと……他のライターは知らないけどさ、オレ、だいたいこう質問したらこう返ってくるだろうとかだいたい予測してインタビュー進めてんだけど、それとは全然違う、予想外の答えとか返ってくると困るよね。 まあ、それで話が面白く広がっていけばいいんだけどさ。

卓球：　オレなんかそうだな。そういう根本条件？　まあ吉村さんみたいに知ってるライターの人は違うけど、初めてのライターで、凄い先入観をもってインタビューしたりするケース多いからさ。 そういうとき、オレはだいたい最初っから全てを否定するかたちで ―― それこそ、そのノートに書いてある考えてきた質問は全部ナシ！って感じで、一回白紙にしてから「さあ、人間同士、お互いの器で勝負しましょう」ってインタビューするようにしてるけどね。

吉村：　うわー、それって嫌なタイプのミュージシャンだわ（笑）。

卓球：　でもさ、そういうときの方が絶対面白いインタビューできるからさ。広瀬さんとかそうじゃん。はなっから。

まりん：　自分が全然興味ないミュージシャンのインタビューの仕事とか原稿の依頼があったときはどうしてんの？

吉村：　困るよね。全然質問浮かばない人っているもん。 ま、なんとかなるけど。あと、ニューズメーカーのディスクレビューなんかはさ、最初にリリースのリストがあって、自分で選べるんだよ。 だからそんなに困ることはないけどね。

卓球：　読んでるよー。オレなんかミュージシャンの名前より先に、吉村さんの吉って字から探して読むもん。 今月はどんなミュージシャンのアルバムをどんなふうに遠回しに悪口書いてるのかって。

吉村：　ギクッ！