手渡された“泡立つカフェオレ”を、いぶかしげに見つめる筆者に石野卓球選手独特のハイトーン・ボイスが追い打ちをかける。

「ほら、シャズナのCM、見たことない？」

…まったく!!　昨年一年の大半をベルリンで過ごしテクノ・ミュージックに打ち込むかたわら日本のトレンドにも至極自然に対応するこのバランス感覚!!　 改めて石野選手の持つ底知れぬポテンシャルに圧倒されながらも、これから行われるインタビューの成功を強く確信した筆者は、 お馴染みのマオカラースーツ（色はもちろんメタリック・パープル！）に身を包んだ希代のテクノマエストロにマイク（割り箸に里芋を刺したモノ）を向けた。

インタビュー・文／天久聖一

−石野さんは現在、電気グルーヴのレコーディングをなさっているんですよね。まずはその進行状況からお伺いしたいのですが。

石野「まだ音集めの段階です。先日も映画館で字幕を朗読してきました。ええ、ラジカセ持参です」

−他にはどういった（音の）素材を？

石野「火の用心なんかドキッとしますね。街を歩いてると向こうからヒントがやってくる場合も多いですよ（笑）」

−なるほど。ところで次の作品では聖飢魔IIのカヴァーをするという噂を耳にしたのですが本当ですか？

石野「残念ながらそれはありません。でも普段レコーディングの時はメンバー全員が聖飢魔IIのメイクでやっています」

−メンバー3人ともデーモン小暮のメイクとか？

石野「いや、全員ゼノン石川なんですけど」

−ゼノン石川というと頭に角をつけている人ですね。

石野「ええ。だけど角が全部で5本しかないもんだから、角を1本しかつけられないメンバーが必ず一人出て、いつもモメてるんですよ。 それでレコーディングがなかなか進まないんです。それにスタジオ入りしてメイクだけで6時間かかりますからね」

−長期レコーディングになりそうですね。

石野「はい。覚悟はしています」

−話は変わりますが、石野さんといえは欠かすことの出来ない活躍のひとつとしてDJがありますよね。 とりわけ昨年のラヴ・パレードでのプレイは大きな意味があったと思うのですが。

石野「ええ。しかしあれは既に過去のことですから、問題は今年、日本で開かれるラブ・パレードですね」

−今年は日本で!?　もう場所は決まってるわけですね。

石野「日光東照宮がその舞台となる予定です。ラブ・パレードはシチュエーションが大切ですから」

−今、シチュエーションという言葉を使いましたが、どういった意味なのでしょう。ダンス・ステップの名前ですか？

石野「はい。それでいいと思います」

−安心しました。DJプレイとダンスには密接な関わりがありますものね。 最近のヨーロッパのダンス・シーンはみんなこういった“シチュエーション”が主流ですか？

石野「ええ。みんなZOOみたいな踊りですよ」

−ZOOって、象のことですか？

石野「う〜ん、ちょっと違いますね。どちらかというとエレファントマンです」

−茶色い紙袋を被って踊るわけですか？

石野「まあ、そんなところですね。あと、学帽を被っている人もいるかな」

−かなり理解できました。これでいよいよ今年のラヴ・パレードが楽しみですね。

石野「悟空も待ってるよ！」

−え？（笑）　ところで石野さんは宍戸留美のリミックスや細川ふみえの“だっこしてちょ”などでプロデューサーとしてもその手腕を発揮されていますが、 現在気になる女性アーティストやタレントはいらっしゃいますか？　是非プロデュースしてみたいような…。

石野「大東めぐみ…かな（微笑）」

−旬ですね。

愛娘、故郷・静岡に対する熱い思い

−マイホームでは中学生になる娘の父親としてどんな事をなされていますか？　難しい年頃の娘を持つといろいろ気苦労も多いと思いますが。

石野「そうですね。さすがにもう一緒にお風呂は入れませんよ（笑）」

−カラダも丸みを帯びてきますしね。

石野「お互いに帯びますね、丸みは」

−休日はどのように過ごされます？

石野「やはり娘といる時間が多いですね。ま、もっとも向こうは最近、私を毛嫌い しているようですけど（笑）」

−どうします？　急に彼氏なんか紹介されたら…？

石野「いくらなんでもまだそれは…でも実は楽しみにしてるところもあったりしてね（笑）。 娘の彼氏と馴染みの店で一杯やるのって男親にとってはひとつの夢ですから」

−でも、ヘビメタ男だったりして？

石野「彼らは意外とマジメなんでしょ!?　いえね、私も音楽家ですから、そのあたりのなんというか懐はけっこう深いという自負はあるんです。 ええ、それにかくいう私も若い時分はいろいろとありましたから！」

−父親に悩みは尽きずってところですか。

石野「ま、一番の悩みは娘の顔が私にうりふたつってことですがね！　ガハハハハ」

−（笑）ちなみに娘さんのプロデュースとかはどうなんでしょうね。最近流行ってるみたいですが。

石野「今、サンプラザ中野さんに歌詞をお願いしようかなと思ってるんですよ」

−それは楽しみですね。

石野「爆風スランプの“ランナー”の歌詞で、曲が渡辺美里の“マイ・レボリューション” だったら最高なんですけどね」

−ところで正月は地元の静岡でまわしていたと聞いたのですが、一体、何をまわしてたんですか？

石野「樽です」

−樽ですか（笑）。男らしいですね〜。何樽くらいまわしたんですか？

石野「今年は不況をぶっとばせ！ってことでいつもより多くまわしましたね。30から40はまわしたんじゃないかな」

−今後まわしてみたいものはありますか？

石野「それがピンとくるものがないんですよ。今は樽ですね。 みなさん割と昔の電気と比べて他のものをまわすことを期待する人が多いんですけど、やはり樽。 不器用な考え方かもしれませんが、樽ですね」

−だから地元・静岡にこだわったわけですね。

石野「ええ。その辺やはり一番最初に見せておきたい場所ってどうしても地元になるんですよ」

−伝わります。感動しました。では、本題です。 ノストラダムスの予言によりますと今年の7月に恐怖の大王が降りてくると言われてますが、石野さんはもっぱらどんな大王と7月をお過ごしの予定ですか？

石野「色白でポッチャリとした家庭的な大王がいいですね〜（照）」

−続いての質問です。昨年は元X-JAPANのTOSHIや貴乃花の洗脳騒動が話題となりましたが、洗脳されるんだったらどんなサンダルで？　 また、そのサンダルはいくら位!?

石野「そうですね〜、出しても2800円までですね。それ以上はやっぱりプライベートもあるんで、ちょっとね」

テクノ界のファッション・リーダーとしての責任

−テクノ界のファッション・リーダー的な存在でもある石野さんですが、今年流行りそうなテクノ・ファッションについてお聞かせ下さい。 また、上は大水、下は大火事、な〜んだ？

石野「風呂」

−正解です。では次の話題へ移りましょう。世界をまたにかけるDJ石野卓球として、DJを目指す若者に何かメッセージをお願いします。 また、よろしかったら僕に何かアダ名をつけてください。

石野「乞食殿下ってどうですか？」

−ありがとうございます。まだまだ聞きたいことがたくさんあるので先を急ぎましょう。最近のマイブームがあったら教えて下さい。 と、申しますのも最近めっきり出かけてないのでどっか連れてって！

石野「いいですよ」

−最近、少年の凶悪犯罪やインターネットを使った犯罪等が急増しています。これは人と人とのコミュニケーション不足が生み出した現代社会のひずみだと思うんですよ。 で、現在発行されているお金のデザインについてどう思われますか？　 また、もしよろしけれは現在デザイン中の新二万円札について教えて下さい。発表できる範囲内でかまいませんので。

石野「まだ細かいところまではっきり言えませんが、丸形だということだけお伝えしておきましょう」

−それは期待がもてますね。ところで、今までにさんざん聞かれた質問だと思い ますが、変身するとしたらどんな動物に？

石野「えっ、それってアニマルのことですか？」

−そうです。昔『風雲たけし城』に出てた元・阪急ブレーブスのアニマル・レスリー。

石野「ピッチャー・ライナーを素手で取ったりしてましたね〜。あの頃が懐かしいな〜」

−おっと、話が横道にそれましたので元に戻しましょう。レーズンはお好き？

石野「はい」

−電気の新メンバーは？

石野「弁慶!!」

−干支は？

石野「うさぎ！みたいな（笑）」

−デボラがライバル？

石野「うん!!」